おいしいお米 産地訪問 兵庫県 但馬(たじま)村岡 

こんにちは。ライスステーション コスモです。

全国各地での田植えも落ち着いて、若々しい緑が田んぼの水面に映る頃になりました。

きょうは、先日の6月15日(日)に〝無農薬米研究会〟の有志による圃場巡回に参加した時のお話です。〝無農薬米研究会〟とは、農薬・化学肥料に依存する現代農業への疑問をもとに、「ひと」と「ひと」との交流から流通を考え、「食物」の問題、環境問題に取り組む、街のお米屋さんのグループです。

今回お伺いしたのは、兵庫県 JAたじま村岡米生産組合さんで作っていただいている無農薬栽培米の圃場。

兵庫県に位置する但馬(たじま)地域は、なんと県の4分の1の面積を誇り、東京都の総面積にも匹敵する大きさ。兵庫県最高峰〝氷ノ山(ひょうのせん 標高1,510m)〟をはじめとする1,000m級の山が連なることでも知られています。

山に抱かれ、ミネラルを含んだ水流豊かな川や湧水、昼夜の寒暖差が大きな山地の気候、水や養分を保つのに適した粘土質が特徴的な地質は、美味しいお米を育むのに最適で、但馬地域には有名なブランド米がいくつも、その名を連ねています。

お世話になっている〝村岡米〟も、但馬のブランド米のひとつ。今回、ご案内いただいた山間の圃場は、一番高いところで標高が500メートルにも及びました。

10件近くに登る生産者さんの圃場を順番に見て周り、生産者さんそれぞれが抱えていらっしゃる課題や工夫、想いを聞かせていただいたのですが、特に、無農薬栽培米の肝、田植え後早期の除草がいかに大切かということを皆さんが口を揃えて仰っていたのが印象的でした。

山間部で作られる村岡米の圃場は、山の形状によって田んぼの大きさや形もそれぞれなので、除草で使われる機材も様々。手押しのものから、モーターがついたもの、田んぼに合わせて改造したもの、チェーンなど。目の前の課題をいかにクリアするかを、生産者さんがそれぞれに創意工夫し、意見交換しながら高め合い、品質や収量をバージョンアップをされていました。だからこそ、美味しいお米が実るのですね。

上の写真は、JAたじまの吉田さんが手押しの除草機でデモンストレーションをしてくださっているところ。田んぼからの足の抜き差しは働き盛りの中高年男性でも重労働で、これを生産者さんは何往復、そして数日毎に何回もされるのですから容易ではないことがすぐに想像できます。除草では稲も抜かれてしまうことがあり、収穫できるのは植えた苗の6割程度とのこと。改めて、その価値に想いを馳せました。

巡回の最中には、放牧されている牛に出くわす場面もありました。言わずと知れた、全国のブランド牛のルーツとも言われる但馬牛です。日本で牛肉が食べられるようになったのは、100年ほど前のこと。それ以前の但馬牛は田畑を耕したり、荷物を運んだりしていたとのこと。但馬牛は小型で丈夫、そして多産であったことから、棚田などの小さな水田が多いたじまの地で重宝されていたそう。その糞は元肥や堆肥となって、土へと還り、新たな命の循環へとバトンを渡していました。古くから続くこの循環型農業をJAたじまさんは大切にされていて、現代科学でよりよく進歩する堆肥を生かした村岡ならではのブランド米〝堆肥米〟のことも熱く語っておられました。

JAたじま村岡米生産組合さんが〝無農薬栽培米〟に取り組まれてから流れた3年の月日。

わさびも育む冷たくて清らかな水が引かれた田んぼの中には、絶滅危惧種の中でも環境省のレッドリスト入りしている〝ゲンゴロウ〟の姿も。オタマジャクシやカエル、アメンボ、のほか、田んぼの周りにはトンボや蝶が舞っていました。この光景が子供たちの未来へと続くことを願って止みません。

 

最後になりましたが、日曜日にも関わらずご案内くださった生産者の皆さん、お忙しい中、様々な調整をしてくださったJAたじまの吉田さん。そして、無農薬研究会の皆さん、たくさんの気づきや学びをありがとうございました。

まもなく訪れようとしている酷暑の日々。生産者の皆さんと共に手塩にかけて育てられたお米が、どうか無事に厳しい季節を乗り越えられますように。秋の実りを楽しみにしています。